2010年の国勢調査における携帯電話やスマートフォン等の機器の普及率は日本の総人口1億2805万7352人に対し138.5%だそうだ。
今や持っていない人を探す方が難しい状況である。
高齢者介護においても重要なツールとなっている。本人が持って出かけていれば、家を出てしまっても位置を確認することもできるし、様々な民間サービスを利用し、GPS機能で家族の携帯電話、スマートフォン、パソコン等から居場所だけではなく心拍数等を確認することができる機能を搭載しているものまである。
また、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)と呼ばれる個人どうしのコミュニケーションを図るためのサービスを利用していると認知症の発症や進行具合にいい変化がみられるという研究も進んでいるようだ。
しかし、これらは使いこなせることが前提。
向き不向きや好奇心、脳や体の健康状態等で大きく変わってくると思うが、年齢を重ねれば新しい機械や機能を習得するのには時間がかかる。
GPS機能等に至っては高齢者が外出してしまっても持っていなければ活用できない。
我が家の父の場合、退職後に脳梗塞などの病気を幾度か起こした後に携帯電話を購入した。運動機能や言語には障害はあまりみられなかったが、操作については何度説明をしてもきちんと使えたことの方が少なかった。操作の比較的簡単に高齢者向けのもを購入したのだが、電話に出たことも、家にかけられたこともほとんどなかった。介護状態になった後、少しでも調子がいいと出かけてしまったり、病院からなかなか帰ってこないので心配して電話をかけてみても、滅多に出ない。自宅に電話をかけてきた時も、何もしゃべらない、どんなに話しかけても返答がない。それでもGPS機能でどこにいるのかだけはわかり探すことができた。携帯電話を持って出かけていて、電源が入っていればだが。
友達とメールでやり取りしたいと言っていたが、メールの機能もとうとう使いこなすことができなかった。たぶん説明した回数は百に近くになっているはずである。
我が家の父のケースはまれであると思うが、もし、まだ携帯電話やスマートフォンを持っていないようであるならば、早めに使い始める方がいい。せめて電話をかけられて、通話をできるぐらいは理解できないと、どんどん新しいことを受け入れるのは難くなってしまうからだ。